新・資産三分法 〜人間関係をお金に変える旧世代・信用を貯蓄し続ける豊かな新世代〜
『新・資産三分法』〜人間関係をお金に変える旧世代・信用を貯蓄し続ける豊かな新世代〜
資産を守るための方法として「資産三分法」というものがあります。現金・預金・債券、株式、不動産の三つの異なる特性を持つ資産に分散して保有することで、リスクを分散して資産を守るという考え方です。インフレがおこったら現金・預金・債券の価値は下がるが株式や不動産が上がる、大不況が起こった場合は株式や不動産は暴落しますが債券価格は上がります。このようにして、資産の安定化をはかるのが資産三分法の考え方。
しかし、時代の変化とともに、資産の考え方も変化してきました。それに伴って資産三分法もアップデートする必要があるのではないかと考えました。
今の時代、より安定的に、またより幸せに生きるための『新・資産三分法』というものを考えました。
資産を「会計資産」「自分資産」「人間関係資産」の3つに分けます。
【会計資産とは】
従来の資産三分法にある、現金・預金・債券、不動産、株式、その他の帳簿に記載されるすべての資産をあらわします。会計資産は豊かに生きるために、幸せに生きるために、大切なものです。今の社会では会計資産が大変重要視されていますが、今後相対的にその価値は落ちていくと僕は考えています。
【自分資産とは】
自分のスキルや経験など、自分が身に付けているものです。これは、破産しても失われることがありません。また盗まれたり、取られることがありません。会計資産とは違い、使えば使うほど増えるものです。自分資産を使って会計資産を増やすことができますし、他者のために使えば後述の人間関係資産を増やすこともできます。
自分資産は、経験をすることによって増やすことができます。仕事においても、人生においても、挑戦していく中で試行錯誤し、たくさんの失敗を重ねて、それを乗り越えることで自分資産を増やすことができます。他の人とは違う経験、違うスキルを身に付けることで、その相対的な価値を高めることができます。
【人間関係資産とは】
困った時に助けてくれる友人が何人いるかということです。もし、周りにたくさんの人がいるけれど、助けてくれそうな人が誰も思い浮かばなかったら、あなたが例えお金をたくさん持っていたとしても、それはあなたの会計資産をあてにした人が周りに群がっているだけです。あなたの会計資産が失われた時に去っていきます。
会計資産は破産すればなくなってしまいます。一方で自分資産は身につけてしまえば奪われることはありません。ただし、相対的に見た場合に陳腐化してしまうこともあります。人間関係資産は、プラスにもマイナスにも変動します。
会計資産が増えてきたら、自分資産や人間関係資産に移行していくことをお勧めします。まだまだお金の価値を信じている人が多くいますが、会計資産の価値は相対的に低くなっていくと考えています。会計資産を使って自分資産を高めたり、人間関係資産を高めることです。
自分資産の高め方としては、いろいろなことに挑戦していくことです。人がしていない経験をすることで、自分資産は高まっていきます。事業を立ち上げたけどうまくいかなくて1000万円を失ったとしても、試行錯誤していく中で自分資産を高めることができています。
人間関係資産を高めるこつとしては、他者に貢献することです。会計資産を使って他者に貢献することは簡単です。困っている人がいれば自分の会計資産を差し出せばいいのです。また、高めた自分資産を使って他者に貢献することでも人間関係資産を高めることができます。この時のポイントとしては「尽くして求めず」の精神です。これだけしてやったんだからとか、この人に何回食事をご馳走したとか、数えていたら、人間関係資産を増やすことはできませんし、自分自身が幸せではありません。相手の人も、この人に借りは作りたくないからと必死で返そうとします。でも、人に何かをする時に、一切の見返りを求めずに忘れることができるようになれば、相手もすんなりと受け取ってくれます。
マーケッターと呼ばれる人たちは会計資産や自分資産で築いた人間関係資産をマネタイズしようとしますが、これは古い考え方です。信用(人間関係資産)をお金(会計資産)に変換して、高級スポーツカーに乗っていたりしたらかなり痛いですよね。
人間関係資産はプラスのまま置いておく方が幸せになれます。預金からは利息が、不動産からは家賃がもらえますが、人間関係資産がプラスの状態だと、日々幸せという利息を感じることができます。尽くしても求めずと言ったのはここにも関係します。見返りを求めていると人間関係資産からの利息がもらえなくなってしまうどころか負の利息がついてしまうからです。人に何かをする行為自体に喜びを感じることができたらものすごく幸せです。おじいちゃんが孫にお小遣いをあげるのはそれ自体が幸せですよね。友人を自分の能力で窮地から救うことができたらうれしくて見返りなんかいりませんよね。そんな感じです。
僕は若い頃、お金持ちになりたいと思っていました。お金持ちになれば幸せだと思っていたからです。会計資産を増やすことを目的としていました。30歳で独立した時は、実はかなり不安な気持ちを持っていました。でも37歳になった今、不安がほとんどありません。会計資産も10倍くらいになっているのですが、それが不安を消し去ったわけではありません。
今、会計資産を失いたいとは思いませんが、もしすべて失ったとしても、もう一度立ち上がる自信があるのです。これまで、いくつも事業を立ち上げて、本当に多くの経験をしてくる中で自分の力がついたと考えているからです。失敗した事業はたくさんありますし、出資先がつぶれたこともたくさんあります。事業はうまくいっているけど、人間関係がいまいちだったという経験もあります。いろいろな経験をしてきたので、今、一から事業を行ったとしても、ある程度やれるという自信があるのです。また、会社が潰れて仕事がなくなっても誰か雇ってくれるだろう、価値を提供できるだろうと考えています。そして、人間関係資産もたくさん蓄積できているのではないかと思います。例えば、僕が餓死しそうになったら、食事をご馳走してくれる友人は100人以上いると思います。
今、日々幸せを感じて生きていけるのは人間関係資産から、毎日たくさんの幸せをいただいているからです。新聞やニュースで、関わった事業を見たら、本当にうれしい気持ちになれます。たまに、おかげで人生が変わりましたいう連絡をくれたりする人もいますが、思い出しただけでうるうるするくらいの幸福が得られます。
会計資産をいくら増やしても、このような幸せを味わうことができません。僕は、それなりの会計資産を持っていますので、贅沢なものにお金を使うという経験もしてきましたが、世間一般の人がイメージしているお金持ちの生活というのは、それだけでは幸せなものではありません。
会計資産、自分資産、人間関係資産をバランスよく持って、増やしていくことができれば、真に豊かなで幸せなお金持ちになることができます。みなさんが、幸せになることを願っております。
僕は将来的には会計資産は必要なくなる、なくなってしまうと考えています。
そんな社会は、人々が自分の好きなことで他者に貢献していく時代です。