中小企業におけるSDGsとその可能性

2018年9月11日、神奈川県の平塚商工会議所青年部様で講演をさせていただきました。約80名の方にご参加いただきSDGsのカードゲームと「中小企業におけるSDGsとその可能性」というテーマでお話しさせていただきました。

上場企業ではSDGsの取り組みを表明している会社がすごい勢いで増えていますが、これは上場企業だけのものではなく中小企業にとって大きなチャンスになると考えています。

講演では、SDGsの大きな流れを、「ESG投資」「トレーサビリティ」「ミレニアル世代の台頭」という3つのキーワードでお話ししました。

ESG投資

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものです。企業の長期的な成長には環境、社会、ガバナンスといった短期的な決算書には現れない目に見えない価値を高めなくてはいけないと考えられるようになりました。ESGに積極的に取り組んでいる企業に投資をしよう、消極的な企業は投資対象から外そうというのがESG投資です。

世界の投資マネーはだいたい1京円(1兆円の1万倍)くらいあると言われていますが、その内2500兆円がESG投資を行っています。年金基金などの大口の運用者がESG投資を行い始めた為、急速な動きとなっています。上場企業にとって、投資資金が入らないとうことは資金調達、資本政策に大きく影響することですので、経営においてかなり重要度の高いものとなっています。

トレーサビリティ

では、上場企業の問題で、中小企業には関係ないのかというと、全くそうではありません。そのキーワードがトレーサビリティ(追跡可能性)。モノの生産から消費、最終処分までの追跡が可能な状態をいいます。

特に食品において、どこで生産されたのか、畜産であれば餌に遺伝子組換えの穀物を使っていないかなど、企業は下請け企業や原料供給、その後の廃棄にいたるまで責任を問われるようになりました。ファストファッションの企業であれば、製造メーカーに製造を発注し、その製造メーカーから下請け、孫請け工場に仕事が出されますが、末端の工場で児童労働が行われていたという状況であれば、「それはメーカーや下請け工場の責任だ」とは言えなくなってしまいました。不買運動さえ起こりかねない事態となります。大きなコストをかけて末端工場を調査したり、多少コストが上がっても安心な先に発注しようということになります。

上場企業にとってはSDGsに取り組まないことはもはやリスクですが、中小企業においては大きなチャンスとなります。自社の事業活動においてSDGsに取り組んでいることをきちんとアナウンスしていれば、大手企業からいきなり発注がくるということもあります。大手企業は、SDGsにしっかりと取り組んでいる企業を探しています。

ミレニアル世代の台頭

最後に、SDGsの波を起こしている大きな要素として、ミレニアル世代の台頭についてです。ミレニアル世代とは2000年以降に成人を迎えた世代です。ミレニアル世代の特徴として、デジタルネイティブ、社会奉仕などに意識が高い、ブランドや出世など以前の世代が欲しがった物に興味を示さない、モノよりも共感や経験をお金で買うなどが挙げられます。

ウーバーやAirbnbをはじめとするシェアリングエコノミーが急成長したのも、facebookやInstagramなどのSNSの利用者数が急増したのも、ミレニアル世代が消費の中核となってきたからです。 消費において安さや機能性だけでなく、デザインやストーリーといったものが判断基準となってきました。少しくらい値段が高くても環境に負荷のかからないものを使いたい、そんな風に考える人も増えてきています。

スターバックスコーヒーは、まさにミレニアル世代をターゲットとしています。世界に2万8000店舗あるスターバックスでは年間約10万本のプラスチックストローを使っていました。しかし、2020年までにこれを全廃するという発表を2018年7月に行いました。プラスチックの廃棄の問題、海洋汚染の問題に注目が集まるようになったからです。ストローのコストは現段階では約10倍になると言われています。しかし、それだけのコストをかけてでも長期的には大きなリターンがあると僕は考えます。コストがかかるのでプラスチックストローを使い続ければ、スタバでコーヒーを飲むことがおしゃれでかっこいいことから、海を汚すダサいことになってしまうという可能性もありました。この大英断により、スタバはコストをかけてでも環境を守るイケてる企業、さすがだねというイメージができあがりました。

ミレニアル世代は消費の中核を担っていくと同時に、生産の中核にもなります。労働市場におけるミレニアル世代の割合は大きくなっていきます。彼らは、給料よりも仕事においてやりがいや社会貢献性を求めています。企業がSDGsに取り組んだり、社会貢献を行っている場合、中小企業であっても優秀な人材が働きたいと思うことになります。

また、既存の従業員さんにとっても同様です。現場で仕事をしている中で、自社の仕事が社会に貢献していること、自社が成長することで持続可能な社会を創っていくことができるということが分かれば、自信と誇りにつながります。

以上まとめますと、中小企業がSDGsに取り組むと

・上場企業からの直接、関節受注が増える
・消費者に選ばれる
・価格競争に巻き込まれない
・優秀な人材が採用できる
・働く人の誇りになる

SDGsの講演やカードゲームはこれからも予定が合えば受けていきたいと思っています。お気軽にご連絡ください。

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