クリエイティブの生まれる緊張感のある空間

金沢には文化や芸術が溢れています。今では毎週のように新しい催しが開催されており、多くの刺激をいただいています。

僕はビジネスの世界で生きてきましたが、最近はビジネスは論理だけでなく”感性”も必要であると考えるようになりました。感性を磨くということに関しては金沢という地は最高です。

今日は、陶芸家である中村卓夫さんのご自宅を訪問しました。昨年、工芸と建築を融合させた『工芸建築』というコンセプトを21世紀美術館で発表され、今年も「東アジア文化都市2018」にて展示があるそうです。

中村卓夫さんは、中村梅山氏の次男として生まれ、三兄弟がそれぞれ陶芸家の道に進んでいらっしゃいます。30代までサラリーマンをされて家業である陶芸の世界に入られましたが、すでにご兄弟が色々なことを考えて作品を作っていらっしゃり、自分には何ができるのかと試行錯誤し「作るのではなく壊す」というコンセプトに辿り着かれたそうです。元々意図して作品を作り上げるのではなく、ワイヤーを使って切ったり、床に叩きつけたり、圧力を加えたり、面白い形が出来たものを作品に仕上げていくそうです。

ご自宅は、コンクリートと鉄骨がむき出しで素材そのものを生かしたシンプルな作りとなっており、ご自身の作品を飾られているますが、陶器なのに柔らかさはなくて鉄にも見える作品が、コンクリート打ちっ放しに大変マッチしていました。

リビングなのに落ち着く感じではありません。しかし、この緊張感が大切なようで、クリエイティブを生み出す時にのんびりくつろげる環境ではだめだそうです。

僕はこれまで、オフィス環境はできるだけリラックスできるものをと思って作ってきましたが、緊張感もクリエイティブには必要ですね。確かにアイデアは、集中したり緩めたりという中から生まれるものかなとも思います。一方で、リラックスできる空間もやはり必要だと思うので、リラックスできる空間と、緊張感のある空間の両方をオフィスに取り入れてみようと思います。

 

ー ぎりぎり器 ー

ー 器になることをやめた器 ー

 

中村卓夫

〜主な作品収蔵先〜

メトロポリタン美術館(NY)、シカゴ美術館
東京国立近代美術館、金沢21世紀美術館に作品収蔵

〜年譜〜

1945 石川県生まれ(二代目中村梅山の次男)
1978 父・梅山に師事
1982 通産省名古屋工業試験所瀬戸分室で釉研究
1984 イタリア・国立ファエンツァ陶芸美術学校教授、アルド・ロンティーニに師事
2004 WEDGEWOOD アートコレクション「ジャパネスク」製作
2006 大地の芸術祭越後妻有アート・トリエンナーレ出品
個展・グループ展多数

Follow me!