『福岡DIYリノベWEEK2018』に参加してきました
築50年くらいのビル。
普通は「壊すしかない・・・」と考えてしまうが、そんなビルを建て替えるのではなく、
おしゃれに改装し、そこにコミュニティを生み出し、さらには街が活性化している。
そんなスゴイことを実践している会社が、吉原勝己さん率いる(株)スペースRデザイン、
福岡リノベWEEKの皆さんです。
「福岡リノベWEEK」は2012年に、NPO法人福岡ビルストック研究会で
勉強会をはじめたものがスタートだそうです。
ビルの活用や街づくりについて学ぶ「ビンテージカレッジ」というものを開催し、
経年劣化した賃貸ビルを味わいある「ビンテージビル」として捉え、
街の景観や拠点としていく取り組みです。
見学させてもらって、一番すごい取り組みは冷泉荘。築60年の賃貸マンションを改装されたそうです。
2006年に一棟丸ごとを住宅からオフィスビルにコンバージョンされました。
設備や内装の痛みが激しくて、住居としての再生には莫大な費用がかかるということから
「セルフリノベーション」かつ「原状回復義務を課さない」という条件で
オフィス用との入居者を募ったところ、表現の場を求める若手クリエーターの拠点として、
全25戸に対して応募は100件近くにのぼったそうです。
入居しているのは、写真スタジオ、飲食店、ヨガスタジオ、旅行会社などさまざまな職種です。
特徴としては、このビルのコミュニティーデザイナーがいるということです。
見た目から奇抜な杉山さんという方が月刊誌を発行したり、見学会をしたりコミュニティーの活性化を行っております。
もともとは3万円台の家賃だったものが6万円近くになっているそうです。
入居者さんに自由に改装してもらうことによってクリエイティブな人達が集まり、
そこに冷泉荘のコミュニティができています。
そのコミュニティの価値がブランドになり、さらに入居者を惹きつけています。
そして、そのコミュニティを生み出していくものが冷泉荘だけで無く、
この地域一帯に広がっていっているというのが特徴です。
建物の再生の仕方も大変面白く、
耐震補強はしっかりして、コンクリートの補修などもするのですが、美装を全くしない。
そのビルの歴史をそのまま残すという方法で、割れたコンクリートは見た目はそのままだけど、
コンクリートの弱いところには補修剤を打ち込んで、透明な防水の塗料を塗っています。見た目は廃墟。
僕は不動産賃貸業において、新築アパートを建てることにあまりやりがいを感じなくなっていて、
使われていないビルやマンションを再生することは楽しいと思っていたのですが、
さすがにこの物件をここまで蘇らせて、たくさんの入居者さんに使ってもらうようになるとは驚きです。
吉原社長の書籍